創業・開業

日本政策金融公庫融資制度の拡充

平成30年4月2日から日本政策金融公庫の融資制度が拡充されていますのでご紹介します。

目次

1.平成30年度予算の概要

1.1 平成29年度予算との比較

日本政策金融公庫の予算を見ると、中小企業向け業務の融資の予算は、平成29年度の19,100億円から平成30年度には17,600億円と減少していますが、国民一般向けの業務の融資の予算は、平成29年度の5,525億円(修正後)が平成30年度には6,150億円にアップしています。

1.2 国民一般向け業務の融資とは

国民一般向け業務の融資とは、個人事業主や小規模企業を対象にした小口の融資です。
これから創業しようとする人や創業して間もない方も対象としています。
(中小企業法では、小規模企業は、製造業その他の業種の場合には、従業員が20以下、商業・サービス業の場合には従業員が5名以下と定義されています。)

日本政策金融公庫は、国が100%の株式を保有する特別な株式会社で、民間の金融機関を補充するための株式会社であるため、開業の時に必要なお金を借りる時に、民間の金融機関よりも借りやすくなっています(もちろん審査は必要です)。

日本政策金融公庫のホームページを見ると、融資額の平均は700万円となっています。
美容院、サロンや飲食店など個人で開業する時に必要な資金の一部を補ってくれる金額と考えるとイメージしやすいと思います。

1.3 中小企業向け業務の融資とは

中小企業向け業務の融資は、中小企業を対象とした長期事業資金の融資です。

上述した小規模企業より従業員数が大きくなった企業とイメージして頂ければ良いと思います。
(中小企業法では、製造業その他の業種では、資本金3億円以下又は従業員の数が300人以下、サービス業は資本金が5千万円以下又は従業員の数が100人以下など、業種毎に定義されています。小規模企業と中小企業で日本の会社のほとんどを構成しています(2014 年時点で約381万者と企業数全体の99.7%(2018年度中小企業白書より引用)。

日本政策金融公庫のホームページを見ると、融資額の平均は1億7千万円となっています。
中規模の製造業や建設業が設備投資をするためにお金を借りて、長期間に渡って返済していくイメージをしてもらえれば良いと思います。

2.平成30年度の拡充の内容

以下では、今回の拡充の内容で主なものをまとめます。

2.1 新規開業資金等の拡充(国民一般向けのみ)

新規開業資金等とは、新しく開業する方又は開業後7年以内の方を対象とした融資です。
今回は、「Uターン等により地方で創業する」場合、「創業支援ネットワーク(認定特定創業支援事業)の支援を受けてる方等」の場合に、借入金の利率が基準利率より0.4%引下げされます。

2.2 新事業活動促進資金の拡充(国民一般向け、中小企業向け共通)

新事業活動促進資金とは、経営革新計画、経営力向上計画(経営力向上計画については、こちらの記事もご参照下さい。)の認定を受けた方、第二創業を図る方を対象とした融資です。

今回は、新事業活動を行う方で、経営の向上が認められる方が対象に追加されました。
これまでに事業計画を策定したことがない方が、公庫又は認定支援機関の経営指導を受けて経営の向上に取り組む場合については、借入金の利率が基準利率より0.2%引下げられます。

2.3 働き方改革推進支援資金の概要(国民一般向け、中小企業向け共通)

働き方改革推進支援資金という融資が新しく創設されました。

①融資対象者
以下のいずれかの条件を満たす方が対象になります。

1. 非正規雇用の処遇改善に取り組む方
2.従業員の長時間労働の是正に取り組む方
3.次世代育成支援対策推進法に基づく一般事業主行動計画を策定し、その旨を都道府県労働局長へ届け出ている方(同法に基づき、一般事業主行動計画を届け出なければならない方を除く。)
4.女性の職業生活における活躍の推進に関する法律に基づく一般事業主行動計画を策定し、その旨を都道府県労働局長へ届け出ている方(同法に基づき、一般事業主行動計画を届け出なければならない方を除く。)
5. 青少年の雇用の促進等に関する法律に基づく認定を受けた方
6.地方公共団体が推進する施策に基づき女性従業員の活用促進に取り組む方
7.事業所内に保育施設を整備する方

②資金用途

設備資金、運転資金(①の7の場合には、設備資金のみ)

③融資限度額
・国民生活事業:7,200万円(運転資金は4,800万円)
・中小企業事業:7億2千万円(運転資金は2億5,000万円)

③融資期間
・国民生活事業:20年以内(据置期間2年以内)
・中小企業事業:7年以内(据置期間2年以内)

④利率
基本は、基準金利になりますが、以下のように一定の要件に該当する場合については、利率が引下げられます。

・融資対象者1、2及び6については、基準利率-0.4%
・融資対象者3については、基準利率-0.4%
(ただし、次世代育成支援対策推進法に基づく認定を受けた方は、基準利率-0.65%)
・融資対象者4については、基準利率-0.4%
(ただし、女性活躍推進法に基づく認定を受けた方は、基準利率-0.65%)
・融資対象者5及び7については、基準利率-0.65%

内容の詳細や、他の拡充内容は日本政策金融公庫のホームページで確認できますが、実施に融資を受ける時には事業計画を作成します。
事業計画の内容によって、融資の金額が変わりますし、認定支援機関の支援を受けた場合には利率の引下げがされます。

私は認定支援機関として認定を受けていますので、ご不明点やご相談がありましたら、こちらからお問合せ下さい。

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