目次
1. IT導入補助金とは
1.1 概要
IT導入補助金は、中小企業・小規模事業者等が自社の課題やニーズに合ったITツール(ソフトウエア、サービス等)を導入する経費の一部を補助金です。
中小企業・小規模事業者の置かれた環境から強み・弱みを認識、分析し、把握した経営課題や需要に合ったITツールを導入することで、業務効率化・売上アップといった経営力の向上・強化を図っていただくことを目的とした国の制度です。
今回の予算は500億円で、昨年の100億円よりアップしていますので、是非活用をご検討ください。
1.2 スケジュール
三次まで公募を予定していて、各回の申請期間は以下の通りとなっています。
一次公募:2018年4月20日(金)~2018年6月4日(月)
二次公募:2018年6月中旬~2018年8月上旬<予定>
三次公募:2018年8月中旬~2018年10月上旬<予定>
昨年は、二次公募まででしたが、二次公募の時の方が一次公募の時より採択率が厳しくなったので、今回申請をされている方は、早めに申請をした方が良いでしょう。
2.補助金の対象となるITツールとは
2.1 補助対象経費と補助率
公募要領では、補助金の対象となる経費は、「ソフトウェア、クラウド利用費、導入関連経費等」とされています。また、補助率は1/2、補助上限額は50万円、補助下限額は15万円になっています。そのため、導入するITツールは30万円以上で、少なくとも15万円は自己負担が必要になる点に留意する必要があります。
そもそも、ホームページ作成やクラウド会計システムの導入に30万円以上も必要ないし、かけたくないという疑問があるかもしれませんが、対象経費には、導入関連経費が含まれていますので、IT補助金申請やITツール導入のために必要な専門家(公認会計士、中小企業診断士)等に対する費用も含まれていると考えれば検討の余地があると思います。
2.2 導入するITツールの要件
導入するITツールは、必ずしも過去から取引のある業者や知り合いの業者から購入できる訳ではありません。
It導入補助金を活用するために、IT導入支援事業者として、国に申請をして認定を受けた業者(ITベンダーサービス事業者)から購入する必要があります。
また、このIT導入支援事業者があらかじめ事務局に登録されたITツールが対象となります。
IT導入補助金の申請をする場合には、まずはIT導入支援事業者へ相談を行い、生産性向上に寄与する適切なITツールを選択し、申請することになります。
IT導入支援事業者に相談をすれば、IT導入支援事業者が、補助金の活用を検討する中小企業の代わり補助金の交付申請や事業実績報告等の作成等の事務手続きをサポートしてくれることになります。
3.申請・手続き
3.1 申請の流れ
IT導入補助金の申請の流れは以下の通りとなります。
IT導入補助金の交付が決定された後にITツールの契約、導入、代金支払いをする流れになっているので、補助金申請前に購入したITツールには適用されない点に注意する必要があります。
また、ITツール契約、導入、代金支払い後に事業実施報告を申請して、補助金が交付されますので、補助金交付前にITツール購入に必要な資金を確保していく必要があります。
①IT導入支援事業者へ補助事業に関する問合せ、相談等
②ITツールの選定及び導入するITツールの商談、見積もり等の依頼
③交付申請(中小企業者・小規模事業者等がIT導入支援事業者のサポートを受けて申請書を共同作成。IT導入支援事業者が代理でIT導入補助金の事務局に申請します。)
④交付決定
⑤ITツール契約、導入、代金支払い
⑥事業実施報告の共同作成及びIT導入支援事業者による代理申請
⑦補助金確定通知、補助金の交付
⑧ITツール導入後のアフターフォロー
⑨事業実施報告の共同作成及びIT導入支援事業者による代理申請
申請の流れの中で、事務局への申請等の手続きはIT導入支援事業者のサポートの下行うことになりますので、以下では、中小企業・小規模事業者等が主体となって実施する内容を記載します。
3.2 IT導入支援事業者の選定
中小企業・小規模事業者等は、まずIT導入支援事業者(いわゆるITベンダー、業者)に問い合わせ、相談をすることになります。
IT導入支援事業者は、IT導入補助金の事務局のホームページ上にある「IT導入支援事業者検索」画面から検索することができます。
IT導入支援事業者を検索する場合はこちらへどうぞ。
ただし、この方法ですと、条件を絞り込んでも相当な数の業者がヒットしてしまいますので、次に記載するITツールの選定から業者を絞り込むのも良いと思います。
3.3 ITツールの選定方法
ITツールの選定は、IT導入補助金の事務局のホームページ上のITツール選定ナビにある「機能検索」画面から検索することができます。
ITツールを検索する場合はこちらへどうぞ。
IT導入補助金を活用して導入できるツールは、ここで検索した結果、登録されているツールに限られますので、ITツール検索をした後に業者に問い合わせをすれば、補助金の対象外になることはないため安心ですね。
3.3 検索の具体例
具体例として、飲食業の個人事業主で今までエクセルで売上高や経費等の集計をしていた方で、会計ソフトを導入して業務の効率化を図ろうとした場合の検索をしてみます。
まず、検索画面の「業種」の中から該当する「飲食業」を選びます。
そうすると、候補となる機能が複数表示されます。
ここで、「事業計画・財務会計・税務申告・管理会計」にチェックを入れます。
利用形態、価格、ITツール名という項目がありますが、こだわりがなければ選択しなくても検索結果は表示されます。
検索結果からは、取り扱っているツール内容がわかるので、この中から候補を選ぶことができます。
ただし、検索の結果、393件表示されており、やはり選択が難しいですね。
そのため、以下では私の専門分野である会計に関連するITツールについて選択の目安を記載したいと思います。
4. IT導入補助金を活用した業務効率化の例
4.1 MFクラウドの導入による経理入力作業の削減
「事業計画・財務会計・税務申告・管理会計」の分野で検索した場合、上位に表示されるのがMFクラウド関連のツールです。
「MFクラウド会計・確定申告」は、確定申告や会計・経理業務を、可能な限り自動化し、確定申告や会計処理を簡単で身近なものへと変えるために開発されたクラウド型会計ソフトで、製品は、個人事業主向けの「MFクラウド確定申告」、中小法人向けの「MFクラウド会計」の2種類が用意されています。
MFクラウドでは、下銀行口座やクレジットカードを会計ソフトと連動させることで、銀行口座やクレジットカードの取引が全て自動的に会計ソフトに仕訳として反映されます(下の画像は実施のMFクラウド会計の画面です)。
そのため、今までは紙の領収書を見て一つ一つの取引を手入力で会計ソフトに入力していた作業がなくなり、経理担当者はチェックをして修正が必要かを確認だけで済みます。
このように、MFクラウドの会計ソフトを導入し、銀行やクレジットカードとの連携を図ると、会計処理や経理作業が大幅に効率化されます。
私も会計事務所でスタッフが仕訳の記帳をしているのを見ていますが、他の会計ソフトと比較して入力作業が減少しているため業務効率化が図れていると思います。
なお、MFクラウドで連携可能な銀行やクレジットカードなどの金融関連サービス数は国内No1の3,600以上あり、他のクラウド会計ソフトと比較しても、最も幅広く自動入力を利用できるクラウド会計ソフトになっています。
実際に連携可能な内容をMFクラウドの画面で確認してみましたが、たくさんあって驚きました。業務の効率化が図れるのは間違いないですね。
(参考:連携可能な銀行)
(参考:連携可能なクレジットカード)
(参考:連携可能な電子マネー・プリペイド)
(参考:連携可能な通販)
(参考:連携可能なサービス)
(参考:連携可能なビジネス)
更に、MFクラウドですごいと思うのは、人工知能(AI)の機械学習の技術です。
会計ソフトと連動させて作成される仕訳は、人工知能(AI)がビッグデータを元に勘定科目を提案してくれます。MFクラウドは使うほど賢くなって、自動入力・自動仕訳がどんどん楽になるという革新的な技術を備えています。
IT補助金は、中小企業者等がITツールの導入により業務の効率化を図り経営力を向上・強化するための補助金ですから、自動化、自動連携による業務効率化が図れる会計ソフトの導入は、補助金の趣旨にも合致した取り組む内容だと思います。
MFクラウド会計・確定申告の詳細は、以下の公式ホームページをご参照ください。導入事例も確認できし、無料診断や資料のダウンロードができます。
4.2 MFクラウド請求書、MFクラウド給与、MFクラウド経費の導入及び連動による業務効率化
MFクラウドは、会計だけでなく、MF請求書、MF給与、MF経費というソフトもあります。
それぞれのソフトを導入することによる業務効率化と、まとめて導入することによる業務効率化について検討したいと思います。
4.2.1 MFクラウド請求書の導入による効率化
MFクラウド請求書には、以下のような特徴があります。
【たったのワンクリックで郵送が簡単にできる】
「MFクラウド請求書」は、郵送ボタンをクリックするだけで、請求書を郵送できる。請求書郵送のたびに手間だった印刷・封入・送付作業を、「MFクラウド請求書」が代行してお客様の業務効率化を支援。
【利用ユーザーに応じた権限管理で作業ミスを削減】
事業所ごとにメンバーを追加することができ、複数人で共通のデータの閲覧が可能。また、「閲覧のみ可能なメンバー」や「編集も可能なメンバー」というような権限の管理を行うこともできる。管理者や作業者に応じた適切な権限を付与することによって、意図せずして請求書が上書きされてしまうといったようなリスクを回避することができる。
【毎月の請求書は、定期発行で自動作成】
「毎月自動作成」機能を使うと、同じ内容の請求書を毎月作成する手間がなくなる。毎月作成する請求書は、一度スケジュールの登録をしていただくと、自動で定期発行ができるようになる。 また、繁忙期に起こりがちな請求書の発行漏れを防ぐこともできる。
【会計ソフトとの自動連動で売掛金管理の手間を削減】
マネーフォワードが提供するサービス「MFクラウド会計・確定申告」との自動連携が可能。 請求書を作成して送るだけで、「MFクラウド会計・確定申告」に支出データが自動的に記帳され、会計処理の効率が格段に上がる。また、入金時の消込処理とも連動しているため、売掛金管理が非常にカンタンになる。
【金融機関から入金情報を自動取得、毎日自動で消込】
金融機関を登録しておくことで、毎日自動で入金データを取得します。このデータをもとに、請求書から作成された入金予定データと自動的に消込を行う。自動的に消込ができなかったデータも、一度手動で消込を行えば学習し、次回から自動で消込が行われるようになる。許容誤差を設定しておくことも可能。
(私見)
MFクラウド請求書の内容をホームページで確認したところ、「表計算ソフトによる請求書作成・郵送からMF請求書に切り替えた場合、人件費・郵送費削減によって年間約84万円のコスト削減効果が期待できます(月間請求書枚数が300枚の場合)」と記載されています。
エクセル管理は属人的で複雑になりがちで業務引き継ぎが難しくなる事が多いですし、上記のようなコスト削減効果が期待できるとなれば、エクセル管理をしている企業の場合には、MF請求の導入も会計ソフトと合わせて検討すべきだと思います。
また、MFクラウド請求にはレポート機能があり、債権の回収管理だけでなく、取引先別等の売上データを確認することができ、CSVファイルで抽出し加工も可能です。
バックオフィスの効率化だけでなくフロント業務につなげることができる点が素晴らしいと思います。
MFクラウド請求書の詳細は、以下の公式ホームページをご参照ください。導入事例も確認できますし、資料を無料でダウンロードできます。
4.2.2 MFクラウド給与の導入による効率化
MF給与は、「給与計算」「賞与計算」「所得税計算」「社会保険料計算」「雇用保険料計算」「年末調整」「勤怠管理」と複数機能を使用できるソフトです。 間違いやすい所得税や保険料などが自動で計算され、面倒な勤怠管理もできるので効率アップが可能なシステムで、以下のような特徴があります。
【安心できる給与計算】
知識がなくても法令に準拠した給与計算を行えることは、MFクラウド給与のテーマの1つ。知識がなくても労働基準法に準拠した給与計算ができるように、45時間超残業手当や60時間超残業手当にも標準対応している。また、間違いがちな社会保険料の控除時期も、入社日や退社日をキーにシステムが自動で判断。
【3パターンの給与体系に対応】
所得税の計算に必要な扶養人数も、家族の誕生日や同居の有無等を入力することで自動で集計。また、「電子計算機を使用する場合の計算式」「税額表(月額表)」のいずれにも対応済み。
【銀行口座振込にも対応】
給与計算を正しく行うことはもちろん、その後の給与振込みまで間違いのない仕組みを提供。MFクラウド給与では、給与計算結果からFBデータをボタン1つで作成できるため、振込金額を間違えることもありません。
MFクラウドのホームページで確認すると、昨年のIT補助金申請で採択された方の例としてMFクラウド給与の導入が記載されており実績がありますし、Web上で打刻から給与明細の作成までをワンストップで行うことができ、業務効率化を図ることが可能なので会計ソフトと合わせて導入を検討すべきだと思います。
MFクラウド給与の詳細は、以下の公式ホームページをご参照ください。導入事例も確認できますし、資料を無料でダウンロードできます。
4.2.3 MFクラウド経費の導入による効率化
MFクラウド経費は、経費精算システムです。
以下のような特徴があり、手入力の手間を徹底的に省き経理業務の効率化が図れるシステムです。
【領収書を撮るだけ!簡単入力】
専用のスマートフォンアプリでレシートを撮影したり、PCからMFクラウド経費上にアップロードするだけで「日付/支払先/金額」を自動で読み取り明細にする(OCR機能)があります。手動で入力する必要が無いため、経費精算の時間を大幅に削減できます。電子記録保存法にも対応されています。
【カード利用も連携で経費データを自動取得】
金融機関の口座やクレジットカード等と連携して、経費登録をするための設定を行うと情報が自動連携され手入力の必要がなくなります。登録できる口座やカードは3,500以上あるため、ほぼすべての口座・カードに対応しています。
【ICカードリーダーで交通費精算も簡単に】
ICカードリーダー by マネーフォワード (Androidアプリ)をダウンロードすると、Android端末(NFC機能を実装している)で各種交通系ICカードの読み取りが可能になります。アプリがインストールされた端末にICカードをかざすだけで、経路データが自動で読み込まれます。
交通費の精算の時に経路の入力をするは、手間がかかる作業だと思いますので、とても便利ですね。
また、読み取ったデータは、「MFクラウド経費」に転送され、経費登録が簡易に行えます。
【スマホアプリで簡単経費処理】
アプリをダウンロードしたスマートフォンを利用して「経費登録」「経費申請」「経費承認」をすることができます。オフィスにいなくても外出先から登録、申請、承認ができるので移動時などのちょっとしたスキマ時間に処理できスピーディーな対応が可能になります。
MFクラウドを導入している会社を見ていると、自動連携の機能を有効に活用できていないケースがあります。自動連携による業務効率化を図るためににはMFクラウド経費の導入は是非とも検討すべきと思います。
MFクラウド経費の詳細は、以下の公式ホームページをご参照ください。導入事例も確認できますし、資料を無料でダウンロードできます。
4.2.4 各ソフトの連動による業務効率化
上述した各ソフトは、単独で導入しても業務効率化を図る事ができますが、クラウド会計の機能を有効に活用し、より効率化を図るためには、バックオフィス業務全般を連動させて効率化を図ることが有効だと思います。
MFクラウド会計は以下の表のように月額の費用が他の会計ソフトと比較しても高くありません。
(参考:個人事業主の料金)
IT導入補助金は、補助率は1/2ですが、上限が50万円になりますので、導入後のランニングコストを考えても費用として負担に問題がない場合には、全てのソフトをまとめて導入することもありだと思います。
また、MFクラウドにはバリューパックというメニューがあり、上述したMFクラウド会計・確定申告、MFクラウド請求書、MFクラウド経費、MFクラウド給与とMFクラウドマイナンバーの5つのサービスをパックにしたお得なプランがあります。
法人、個人事業主のいずれにおいても、各機能を単独づつ導入するより割安になりますので、IT補助金の申請をきかっけに検討されることをお勧めします。
4.3 MFクラウドと他社サービスの連動による業務効率化
IT導入補助金は、公募要領に、「本事業のITツールは、複数の業務機能を組み合わせることで、生産性の向上を図り、面的な効率化や事業拡大を図ることを目的とし、フロント業務、ミドル業務及びバックオフィス業務を幅広くサポートすることが望まれる。」と記載されています。
また、導入するITツールの要件として、以下の記載があります。
「ITツールを(1つ又は複数)導入することで、フロント業務、ミドル業務及びバックオフィス業務のうちから、2つ以上の機能を持つことが必須条件となる。」
MFクラウド会計は、主にバックオフィス全般の業務効率化を図るためのITツールです。
そのため、補助金申請で採択を受けるためには、フロント業務、ミドル業務の機能を持つ他社サービスとの連動を検討することも有用ではないでしょうか。
(追記:マネーフォワードに電話で確認したところ、クラウド会計・確定申告の単独でもITツールの要件になる2つの機能は持つことになるようです。)
4.3.1 POSレジとの連動による効率化
例えば、POSシステムとの連動により、販売面のフロント業務の効率化を図ることが挙げられます。
MFクラウドは、Airレジ、ユビレジ、スマレジ、ラクレジ、POS+、EC-Orange POSという主要なPOSシステムとも連動可能です。
4.3.2 Eコマースとの連動による効率化
IT補助金の申請をきっかけに、新しい販売方法の取り組みとしてネットショップの開設も検討できるかもしれません。
その場合、MFクラウドでは、カラーミーショップ、BASEというネットショップ構築サービスと連動可能となりますので、企業の生産性向上の取り組みとして計画の内容に記載できると思います。
最後になりますが、質問、ご相談がありましたら、こちらのお問い合わせにてメールを頂ければと思います。