フリーランス、個人事業主が最低限知っておきたい「1日5分で学ぶ税金の話」。
第4回目のテーマは、所得控除です。
目次
1.所得控除とは
第3回目で、税金(所得税)の支払い額の計算方法の内容を簡単に学びましたが、税金の支払い額は、以下の算式のように、所得の金額から所得控除というものを差し引いた後に、税率を掛けて算定します。
税金の支払い額=(所得(収入-経費)-所得控除)×税率
ここで、所得から差し引いくことになる所得控除は、税金を納めるそれぞれの人の個人的事情を加味しようとするために設けられているものであり、複数の種類の控除項目があります。
「所得控除=所得から差し引くもの」になりますから、これから記載する所得控除に該当する内容がある方の場合には要件を満たす限り税金の支払い額が少なります。
そのため、節税を考える上での基礎的な知識として知っておいた方が得をする可能性がある内容です。第4回目では、まず所得控除にはどのようなものがあるかを学びたいと思います。
2.所得控除の種類
所得控除の種類は全部で14種類あります。
今回は各控除の内容を簡単に把握するのが目的ですので、細かい内容は読み飛ばして頂いても問題ありません。
今後、抑えておいた方が良い内容は別途ご紹介させて頂きます。
①基礎控除
他の控除項目のように要件はなく、誰にでも適用される控除です。一律38万円が総所得金額から差し引かれます。
②配偶者控除
納税する人に、妻や夫(配偶者)がいる場合に、一定の要件を満たせば控除を受けられる所得控除です。
平成29年度までは、38万円(配偶者の年齢が70歳以上の場合(老人控除対象配偶者)には48万円)の控除を受けることができました。
平成30年度以降は、以下の表のように、納税する人の合計所得金額、控除対象配偶者の年齢により控除金額が決まります。合計所得金額が900万円を超える人の控除額が少なくなっているのが分かると思います。また、控除を受ける人の合計所得金額が1,000万円を超えると配偶者控除の適用が受けられなくなっています。
控除を受ける人の合計所得金額 | 控除額 | |
控除対象配偶者 | 老人控除対象配偶者 | |
900万円以下 | 38万円 | 48万円 |
900万超950万円以下 | 26万円 | 32万円 |
950万円超1,000万円以下 | 13万円 | 16万円 |
なお、控除対象配偶者となるための要件は、4つあり全ての要件を満たす必要があります。
(1)民法上の配偶者であること(内縁関係にあるだけではNGです。愛人ではだめです。)
(2)納税者と生計を一にしていること(お財布が一緒ということです)
(3)年間の合計所得金額が38万円以下であること(いわゆる103万円の壁のことです。妻(夫)がパートをしている場合に年間の給与を103万円以下におさえている話しを聞くことがあると思います。)
(4)青色申告者の事業専従者としてその年を通じて一度も給与の支払を受けていないこと又は白色申告者の事業専従者でないこと(妻(夫)に事業を手伝ってもらい給与を支払っている場合はNGです)
③配偶者特別控除
②で記載したように、配偶者に38万円を超える所得がある場合には配偶者控除の適用が受けることはできません。ただし、その場合でも、配偶者の所得金額に応じて、一定の金額の所得控除が受けられる場合があります。これを配偶者特別控除といいます。
平成30年度以降は、配偶者の所得が38万円超123万円以下の場合で一定の要件を満たす場合には、配偶者の所得金額に応じて控除を受けることができます。
控除を受ける人の合計所得金額 | |||
配偶者の合計所得金額 | 900万円以下 | 900万円超950万円以下 | 950万円超1,000万円以下 |
38万円超85万円以下 | 38万円 | 26万円 | 13万円 |
85万円超90万円以下 | 36万円 | 24万円 | 12万円 |
90万円超95万円以下 | 31万円 | 21万円 | 11万円 |
95万円超100万円以下 | 26万円 | 18万円 | 9万円 |
100万円超105万円以下 | 21万円 | 14万円 | 7万円 |
105万円超110万円以下 | 16万円 | 11万円 | 6万円 |
110万円超115万円以下 | 11万円 | 8万円 | 4万円 |
115万円超120万円以下 | 6万円 | 4万円 | 2万円 |
120万円超123万円以下 | 3万円 | 2万円 | 1万円 |
控除を受ける人の合計所得金額が1,000万円を超える場合には、配偶者控除と同様に、配偶者特別控除の適用が受けられなくなっています。
④扶養控除
納税する人に、扶養親族がいる場合には、一定の金額の所得控除が受けられます。対象となる扶養親族は年齢が16歳以上で、年間の合計所得金額が38万円以下等の要件を満たした親族になります。
控除金額は、条件に応じて38万円~58万円です。
⑤寡婦(寡夫)控除
夫(妻)と死別した人、離婚後に婚姻していない人が受けることができる控除です。
控除金額は、寡婦の場合には27万、35万円、寡夫の場合には27万円です。
⑥勤労学生控除
税金を支払う人自身が働いていて収入のある学生で、所得が少ない場合には27万円の控除を受けることができる可能性があります。
⑦障害者控除
税金を支払う人本人、又は配偶者、扶養親族が障害者の場合に受けることができる控除です。
障害の程度等により27万円~75万円の控除を受けることができます。
⑧社会保険料控除
国民年金や健康保険を支払った時に受けられる控除です。
その年に支払った金額を控除することができます。
自分だけでなく、配偶者や子供、親のものを支払った場合にも控除を受けることができます。
⑨生命保険料控除
生命保険料、介護医療保険料、個人年金保険料を支払った場合に受けることができる控除です。
最大で12万円の控除を受けることができます。
⑩地震控除
地震保険料を支払った時に受けることができる控除です。
最大で5万円の控除を受けることができます。
⑪医療費控除
医療費の支払いが年間で10万円を超えた場合に受けることができる控除です。
最大で200万円の控除を受けることができます。
⑫小規模企業共済等控除
小規模企業共済やi確定拠出年金(iDeCo、401K)を支払った時に受けることができる控除です。
年間で支払った金額控除を受けることができます。
⑬雑損控除
災害や盗難、横領にあった場合に受けることができる控除です。
次の二つのうちいずれか多い方の金額を控除することができます。
(1)差引損失額(損害金額+損害関連支出金額-保険で補填される金額)-総所得金額×10%
(2)(差引損失金額のうち災害関連支出の金額)-5万円
⑭寄附金控除
国や地方公共団体等の寄付を行った場合に受けることができる控除です。
支払った寄附金の合計額(総所得金額等40%より低い場合)から2千円を引いた金額の控除を受けることができます。
3.まとめ
・所得控除は、所得から差し引くことができるもので、所得控除を使うことで税金の支払い額が少なくなるものだ。
・所得控除には14種類もの控除があるんだ。
・基礎控除はみんなが使える控除。
・その他の控除は、適用できる条件と控除金額が決められている。まずは、自分に関連しそうな控除の項目を覚えておきましょう。