経営力向上計画

経営力向上計画作成のポイント

経営力向上計画の申請をしようと思ったが、申請書の記載方法で分からない点があるという方のために、経営力向上計画の申請書を作成する上でのポイントを記載しました。
経営力向上計画の申請書の記載内容は8項目になります。
申請書の各項目の記載内容と、経営力向上計画の申請を支援をした中でポイントと思った内容を各項目ごとに記載していきます。
なお、経営力向上計画の内容とメリットは、こちらの記事も参考にして下さい。
また、経営力向上計画の申請書の様式はここからダウンロードできます。

1,名称等

名称等には、以下の項目を記載する必要があります。
個人事業主などで資本金や法人番号がない場合には記載しなくてもOKです。

・事業者の氏名又は名称
・代表者名(事業者が法人の場合)
・資本金又は出資の額
・常時使用する従業員の数
・法人番号

POINT法人番号は、国税庁の法人番号検索から簡単に調べることができます。

2,事業分野と事業分野別指針

(1)事業分野

事業分野の欄には、申請する企業等の計画に係る事業の属する事業分野について、日本標準産業分類を確認して、該当する中分野の2桁、細分類の4桁のコードと項目名を記載します。
日本標準産業分類は、統計上のための事業分類です。日本標準産業分類のコード、項目名は、ここをクリックしてもらえば確認できます。
なお、複数の事業分野にまたがる計画の場合には、複数の事業分類を列記する必要があります。

POINT★計画する事業分野によって管轄する省庁(申請書の審査をする場所)が異なります。そのため、複数分野にまたがった計画を申請する場合には、申請書の提出先が複数になる可能性があります。
★提出先によって、申請書の審査の長さが異なります。複数の事業分野にまたがった計画を申請する場合には、単独の事業分野で申請する場合よりも申請が受理されるまでの期間が長くなるためスケジュールに注意しましょう。
(2)事業分野別指針

事業分野別指針の欄には、計画を作成する事業の属する事業分野における「事業分野別指針」を記載します。
この「事業分野別指針」とは、計画する事業分野を所轄する省庁によって策定されている経営力向上計画を作成する上での取り組み内容等のよりどころとなるものです。
経営力向上計画の申請書を作成する時には、「事業分野別の指針」に沿って、経営力を向上するための計画を作成する必要があります。
「事業分野別の指針」は標準産業分類にある全ての事業について策定されている訳ではありません。
現時点では、以下に挙げる代表的な事業分類ついてのみ策定されています。
・製造業
・卸・小売業
・外食・中食
・旅館業
・医療
・保育
・介護
・障害福祉
・貨物自動車運送業
・船舶産業
・自動車整備
・建設業
・有線テレビジョン放送業
・電気通信
・不動産業
・地上基盤放送分野
・石油卸売業・燃料小売業
・旅客自動車運送事業

POINT★事業分野別指針がない事業で計画を策定する場合には、事業分野別指針の欄は、空欄にします。
★事業分野別指針がない事業で計画を策定する場合には、「基本方針」を踏まえて計画を作成します。

3,実施時期

経営力向上計画の実施期間を記載します。
計画開始の月から①3年、②4年、③5年のいずれかの期間を設定します。
計画の期間と決算月は必ずしも一致させる必要はありませんが、決算月と一致させた方が数値計画の作成と計画の振り返りはしやすいと思います。

POINT★税制措置を活用する場合の経営力向上設備等の取得は、実施時期の期間内に行われる必要がある。
★実施期間は、申請日より2カ月前までしか遡及できないため、税制措置を活用したい場合には、設備の取得と経営力向上計画の申請のタイミングに注意しましょう。

4,現状認識

現状認識の欄には、3つの記載欄があります。それぞれ説明します。

(1)自社の事業概要

自社の事業内容を簡潔に記載すればOKです。

POINT★事業分野別指針においては、経営力向上計画の内容について、会社の規模に応じて取り組み内容や取組数が指定されるものがあります。その場合には、自社の規模も追記しておく必要があります。

(2)自社の商品・サービスが対象とする顧客・市場の動向、競合の動向

(2)の欄には、顧客・市場の動向、競合の動向を記載します。
まずは、経営力向上計画を作成する事業の市場の規模、市場規模の推移、マーケットシェアを記載します。公的機関が公表している統計情報を用いて記載するのが良いでしょう。なお、事業分野別指針にはその事業分野の市場動向の記載がありますので参考にすることができます。
次に、自社のターゲットとなる顧客を記載します。地域や年齢、性別等の切り口で、どのような属性の顧客を狙った事業なのかが分かるように記載します。
最後に競合の動向を記載します。自社と同じ市場で競合となる企業の数や状況を記載します。

POINT①顧客、②市場の動向、③競合の動向の3つの内容を漏らさずに記載しよう。

(3)自社の経営状況

(3)の欄には、自社の経営状況を記載します。会社の状況によって異なりますが、過去3期程度売上高、利益の推移、労働生産性等の指標の状況を記載します。

POINT関東経済産業局のホームページにあるエクセル版の申請書を使うと自動的に指標の作成をすることができます。

(2)と(3)の欄は、いわゆる3C分析の結果を記載することを要求していることになります。
3C分析の3Cとは、「顧客・市場(customer)」「競合(competitor)」「自社(company)」の頭文字からできています。(2)の欄には、顧客・市場の分析結果、競合の分析結果、(3)には自社の経営状況の分析結果を記載しますので、経営力向上計画の作成を担当することになった方は、3C分析をしているという意識を持つと良いでしょう。

5,経営力向上の目標及び経営力向上による経営の向上の程度を示す指標

ここには、経営力向上計画の目標とする指標と現状の数値、計画終了時の目標値、伸び率を記載します。それぞれのポイントを記載します。
(1)指標の種類

POINT事業分野別指針がある事業の場合には、事業分野別指針に記載がある指標から選択します。
基本方針に従い策定する場合には、「労働生産性」を指標として使用することになります。

(2)A 現状(数値)
(3)B 計画終了時の目標(数値)
(4)伸び率(B-A)/A(%)

POINT★(2)~(4)については、関東経済産業局のエクセル版の申請書を使、必要事項を入力すると自動的に計算することができます。
★申請受理後には、実績を報告することがあるため、目標数値を設定する時には、達成できないような数値の設定ではなく、現実的に達成可能な数値に設定しましょう。
★伸び率は、基本方針又は事業分野別指針の要求を満たした数値になっているか確認しましょう。

6,経営力向上の内容

ここには、経営力を向上させるための具体的な取り組み内容を記載します。
「事業分野別指針の該当箇所」の欄には、事業分野別指針の該当箇所を記載します。
基本方針に基づいて計画を策定する場合には、空欄にします。
「新事業活動への該非」の欄には、新事業活動となる取り組みに該当する場合には、「〇」を記載します。
新事業活動とは、新商品の開発又は生産、新役務の開発又は提供など、既に取り組みをしている内容とは異なる経営力を向上するための新しい取り組みのことをいいます。「実施事項」の欄には、なぜ新事業活動といえるのか理由を具体的に記載する必要があります。

POINT経営力向上計画認定後に、日本政策金融公庫からの借入等、金融機関からの資金調達を予定している場合には、新事業活動に該当する取り組みを考えて記載するようにしましょう。

7,経営力向上を実施するために必要な資金の額及びその調達方法

ここには、経営力を向上させるための取り組みをする上で、必要なお金の金額と資金調達方法を記載します。記載項目は以下の通りです。
・実施事項
・使途・用途
・資金調達方法
・金額(千円)
実施事項の欄には、「6.経営力向上の内容」の実施事項ごとの記号(ア~エ)を記載します。
また、資金調達方法の欄には、自己資金、融資、補助金等の経営力を向上させるための取り組みをする上で使うお金の源泉の内容を記載します。

POINT日本政策金融公庫等の金融機関からの借入を予定している場合には、事前に金融機関に相談し記載をする必要があります。金額は申請書の変更をしないで済むように余裕を持った金額(実際借入できるかは別として目標とする融資調達金額)で記載しましょう。

8,経営力向上設備等の種類

ここは、税制措置を活用する場合に記載します。
記載項目は以下の通りです。
・実施事項
・取得年月
・利用を想定している支援措置
・設備等の名称/型式
・所在地
・設備等の種類
・単価(千円)
・数量
・金額(千円)
・証明書等の文書番号等
利用を想定している支援措置の欄には、想定している支援措置(固定資産税特例、国税A類型、国税B類型)に〇を付けます。
証明書等の文書番号等には、添付する工業会等の証明書の整理番号や経済産業局の確認書の文書番号を記載します。

POINT★税制措置を予定していない場合には、ブランクで申請することが可能です。
★将来税制措置を活用する場合には、一度受理された経営力向上計画の変更を申請することで対応可能です。

経営力向上計画の申請書の各項目ごとのポイントを記載しました。
実際に申請書を作成する上では、「5,経営力向上の目標及び経営力向上による経営の向上の程度を示す指標」の計画数値の作成と、「6,経営力向上の内容」の文書化が経営者様にとって、煩雑で手間がかかる所になるかと思います。
また、金融機関からの資金調達、補助金申請や税制措置を活用するための経営力向上計画を作成する上では専門家のアドバイスを受けた方がスムーズです。
当事務所では、経営者様の手間をかけずに簡潔で必ず通る申請書の作成を承ります。
また、経営革新等支援機関、中小企業診断士だからこと得られる補助金の情報等の提供によるアフターフォローも可能となりますので、経営力向上計画の申請にご関心のある方はご連絡下さい。申請の相談について無料で承っております。

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