税務

会社の固定資産税を軽減できる方法があるって本当?

 旅館やビジネスホテル、結婚式場のような建物附属設備の維持修繕が継続的に必要になる中小企業や工場にある機械装置や検査器具などに設備投資が必要になるものづくりの中小企業は多いと思います。
 旅館やビジネスホテルなどのお客を呼び込む必要がある業種では、老朽化した建物をリニューアルしないままでは、新しい顧客を呼び込むことは難しくなりますし、既存のお客様からのイメージも改善しないでしょう。
また、中小の製造業の場合には、独自の技術力があったとしてもベテランの従業員頼りで高齢化が進んでいる。古い工場、設備のままで、生産性が落ちており、会社のイメージも良くないためか若手を採用することが難しくなっているというケースを見ることがあります。
 一方で、固定資産を維持更新する、新しく設備投資をするには資金が必要ですし、固定資産税の負担も結構なもので馬鹿にできません。
資金繰りが厳しくなっている会社の帳簿を見ていると、過剰な投資により固定資産税の負担が重くなってしまっているなと思うケースもあります。
 中小企業庁は、「生産設備等投資計画」という中小企業の設備投資を後押しするための措置を設けており、一定の条件を満たすことで、新たな設備投資をした場合の固定資産税が3年間ゼロ~1/2になります。
中小企業には是非申請を検討してもらいたい内容ですので、以下に概要を記載させて頂きます。


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1.「先端設備等導入計画」の概要

「先端設備等導入計画」は、「生産性向上特別措置法」において措置された中小企業・小規模事業者等が、設備投資を通じて労働生産性の向上を図るための計画です。
中小企業者等が行う、労働生産性を向上させるための新たな設備投資を認定支援機関のサポートを受けながら「先端設備等導入計画」として作成し、その取組内容が市区町村の「導入促進基本計画」等に合致する場合に、市区町村の認定を受けることができます。

1.1 作成のメリット

「先端設備等導入計画」の認定を受けた場合には、以下のような支援措置を受けることができます。
①導入する設備(償却資産)に係る固定資産税が3年間ゼロ~1/2になる特例
②金融支援(信用保証枠の別枠保証)
③国の補助金の優先採択(ものづくり補助金等)

1.2 固定資産税がゼロになる自治体

支援措置のうち、固定資産税の軽減は自治体によって異なりゼロ~1/2の範囲とされていましたが、中小企業庁は平成30年9月4日に固定資産税の特例をゼロをする自治体を公表しています。
中小企業庁のホームページによると、平成30年8月末時点で、固定資産税をゼロとする市区町村は1,545あります。
詳細は、こちらでご確認下さい。
なお、先端設備等導入計画は、所在している市区町村が国から「導入促進基本計画」の同意を受けている場合に、認定を受けることができるものです。そのため、まずは所在している市区町村が 「導入促進基本計画」の同意を受けているかををご確認下さい。

1.3 対象となる中小企業の範囲

「先端設備等導入計画」を策定できる中小企業者は、業種毎に資本金の額又は出資の総額、常時使用する従業員の数で定められています。
例えば製造業の場合には、資本金が3億円未満か従業員数が300人以下であれば対象になります。
業種分類毎の詳細は、こちらをご確認下さい。
なお、「中小企業者」に該当する法人形態は、以下の通りです。一般社団法人、一般財団法人、医療法人、歯科法人、社会福祉法人、NPO法人、農業協同組合、農事組合法人、森林組合、漁業組合等は対象になりませんのでご注意下さい。
①個人事業主
②会社(会社法上の会社(有限会社を含む。)及び士業法人)
③企業組合、協業組合、事業協同組合、事業協同小組合、協同組合連合会、水産加工業協同組合、水産加工業協同組合連合会、商工組合、商工組合連合会、商店街振興組合、商店街振興組合連合会
④生活衛生同業組合、生活衛生同業小組合、生活衛生同業組合連合会、酒造組合、酒造組合連合会、酒造組合中央会、内航海運組合、内航海運組合連合会、技術研究組合

1.4 固定資産税の特例措置を受ける場合

1.3の対象者のうち、以下の条件も満たす中小企業が対象になります。
・資本金(出資金)が1億円以下
・資本金若しくは出資金を有しない場合には、従業員数が1,000人以下

1.5 対象となる設備

下の表の対象設備のうち、以下の2つの要件を満たすものが対象になります。
①一定期間内に販売されたモデル(中古資産は対象外です。)
②生産性の向上に資するものの指標(生産効率、エネルギー効率、精度など)が旧モデルと比較して年平均1%以上向上している設備

先端設備等の要件固定資産税特例の適用を受ける場合に追加される要件
設備の種類用途又は細目最低価額販売開始時期
機械装置全て160万円以上10年以内
工具測定工具及び検査工具30万円以上5年以内
器具備品全て30万円以上6年以内
建物附属設備全て60万円以上14年以内
ソフトウェア全て無形固定資産のため固定資産税は課税されない

(注意)市区町村が作成する導入促進基本計画により対象設備が異なる場合があります(例は埼玉県川口市のものです。)

2、手続きの流れ

2.1 通常のケース

①経営革新等支援機関に「先端設備等導入計画」の事前確認依頼を行います。
経営革新等支援機関とは、商工会議所、商工会、金融機関、士業等の専門家です。
私も経営革新等支援機関として経済産業省の認定を受けておりますので、お気軽にこちらでお問い合わせください。
②所在している市区町村に「先端設備等導入計画」を申請します。
申請書はこちらからダウンロードできます。
(中小企業庁ホームページ→経営サポート→生産性向上特別措置法による支援→4.先端設備等導入計画について)

2.2 固定資産税3年間ゼロの特例を受ける場合

経営革新等支援機関に「先端設備等導入計画」の事前確認依頼を行う前後に工業会の証明書を入手します。
工業会の証明書は、当該設備を生産した機器メーカー等(以下「設備メーカー」)に発行を依頼してください。
導入する設備がリース取引の場合には市区町村によって手続きの流れが異なることがありますので、事前にご相談下さい。

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