創業・開業

法人成り時の留意点 個人事業主と併用できるのか?

個人事業主で所得が多く、税金(所得税)の支払いが大きい場合には、法人成りを検討する事になると思います。

個人事業主の場合には、累進課税制度のため所得が多くなればなる程、税率が高くなり税金の支払いを多くすることになります。この記事を投稿している令和6年9月30日時点ですと、最高税率は45%。
おそろしい。。 1年間で稼いだ約半分の所得税を支払う必要があるんですね。

所得税の税率

税率以外にも合計所得金額が500万円を超えると、ひとり親控除を受けれません。
また、1,000万円を超えると配偶者特別控除を受けれません。という所得が高くなると税金が増える仕組みになっています。

一方で、法人になれば税率はざっくり30%程度。法人税率は、23.2%(中小企業は年間800万円以下までは15%という特例がある)ですが、事業税や県税、市税等が加わると多くなるので法人を設立した場合にかかる税率は30%と記載しました。利益が大きく出ている状況であれば、法人の方が個人より税率が低くなり税負担は少ないと言って良いと思います。
また、法人から役員報酬をもらう形にすることで社会保険料も低くなる可能性があります。税金、社会保険料トータルの支払いがどれ位変化するかは税理士に相談されるのが間違いないかと思いますが、少なくとも45%の最高税率になっているようであれば法人成りを検討する価値は高いと思います。

前置きが長くなってしまいましたが、法人成りを検討して、法人を設立する事になった際の留意点を記載したいと思います。

まず、実務的な問題として個人事業主の時から継続しているお客様がいる場合には、法人成りする事を連絡する必要があります。
そして、今までは、個人事業主として請求書を発行していたのを、法人の請求書に変更する必要があります。

記事のタイトルで、法人と個人事業主を併用できるか?
という記載にしていますが、法人成りした後に、個人事業主での取引と法人との取引が重複している状況にあるのは、税務リスクが高い状況にあると思います。
個人での売上なのか、法人での売上なのかが、ばらばらなので、仮に税務調査が入った時に区分を説明するのは難しいと思います。
個人事業主の時にやっていた事業と法人の事業が明確に分けられていて、請求書の発行、入金が明確に区別されていれば法人と個人事業主の併用は可能だと思います。
しかし、個人事業主と法人で行っている事業の内容が同じなのに、個人事業主と法人に分散してそれぞれの申告をすると、税金を減らすための意図的な操作だと言われても文句は言えないと思います。

個人事業主から法人成りする時には、お客様との取引関係等をスムーズに移行できれば、法人設立のタイミングで廃業届出を提出して個人事業主も廃止。今後は法人の申告のみという事になるでしょう。
ただし、一部のお客様との整理ができていない場合には、個人事業主と法人としての申告が並立する事もあるのではないかと思っています。
税金の支払いを意図的に減らすためではなく、適切な申告をするために両者の併存があり得るのではないかという意味です。
法人成りの移行までの準備に時間がかかり過ぎると、タイミングを逸してしまうと思いますので、これは仕方ない事だと思います。

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