補助金、助成金

IT導入補助金採択のポイントまとめ

IT導入補助金採択のポイントになると思う内容をまとめました。
(公募要項に記載のある基本的な申請要件は、当然満たすという前提で記載しています。)


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1.加点項目

加点項目は、以下に記載する4つです。これを満たせば間違いなく有利になります。

(1)生産性向上特別措置法(平成30年2月9日閣議決定)に基づく特例措置に関して、固定資産税の特例率をゼロとする意向を表明した自治体に所属していること。(先端設備等導入計画の認定は不要)
(2)地域未来投資促進法の地域経済牽引事業計画の承認を取得していること。
(3)経済産業省が選定する「地域未来牽引企業」であること。
(4)「おもてなし規格認証2018」を取得していること。ただし、2017年に金、紺、紫認証を取得し、当該認証が有効である場合は、「おもてなし規格認証2018」の取得は不要。(「おもてなし規格認証2018」については、認証ランクは問わない)

ただし、(1)については、先端設備等導入計画の認定は不要になり所属する自治体を変えることはすぐにはできないので検討する必要がないです。

(4)の「おもてなし規格認証2018」には、紅認証、金認証、紺認証、紫認証という4つの認証があります。
金認証、紺認証、紫認証の取得は有償で第三者の認証機関による審査が必要ですが、紅認証については、申請者の自己宣言だけで認証を受けることができ、審査はありません。
そのため、紅認証を必ず取得するようにしましょう。
取得方法は、こちらの記事もご参照下さい。

それ以外の項目については、当然取得していた方が有利ですが、対象となる企業は限定されるので、採択率が極端に低くならない限り影響はないように思います。

2.労働生産性の計画数値

この項目は、申請要件にも含まれていますが、IT補助金の申請者は、「3年後の伸び率1%以上、4年後の伸び率1.5%以上、5年後の伸び率2%以上又はこれらと同等以上の生産性向上を目標とした計画を作成すること。」が必要になります。

労働生産性は、IT補助金では、「粗利益(売上-原価)/(従業員数× 1人当たり勤務時間(年平均))」と定義されており、経営診断ツールに自社の決算情報を入力すれば算定することはできます。ただし、2018年5月15日19時までは、経営診断ツールに間違いがあったようで、再出力が必要ですので、注意が必要です。

採択のポイントは、支援者側がしっかり労働生産性の計算結果を確認すること、目標数値を申請要件を満たすように作成することです。
数値に強い支援者に相談しましょう。

3.独自の数値目標の作成

この項目も、申請要件に含まれていますが、「原則として、労働生産性の向上を目標とした計画及び導入するITツールによる生産性向上指数に類する独自の数値目標を作成する」とされていますので、独自の数値目標を作成して申請した方が採択率が上がるのは間違いないと思います。

公募要領には、独自の数値目標の例としては、「従業員あたり顧客数、従業員あたりの外国人客数、営業員あたりの取引業者数、営業員あたりの取引品目数、従業員あたり診療報酬点数等、従業員あたり製造量又は生産量、時間あたりの顧客数(配送数・接客数等)」が記載されていますが、この数値目標については、労働生産性を高めるための数値目標を作成するという視点に立って作成することができます。

なぜならば、労働生産性の算定式は、前述したように、粗利(売上-原価)/(従業員数× 1人当たり勤務時間(年平均))となっており、この算式は、算式を構成する各項目をブレイクダウンして考えることができるからです。

例えば、以下のような方法で労働生産性の数値を向上させることでできます。

3.1「 粗利」を上げる数値目標

算式の分子になっている粗利を上げることで労働生産性を高めることができます。
粗利を上げるためには、更に①売上高を上げる、②原価を下げる方法に分解できますので、以下のような数値目標を設定することができます。

①売上高を上げる
・顧客単価を上げる。
・新規の顧客数を上げる。
・既存顧客のリピート率を上げる。
・Webサイトへのアクセス数を増やす。
・コンバージョーン率を上げる。
などなど

②原価を下げる
原価を下げる方法は、大きく分類すると、
・「材料費を下げる」
・「人件費を下げる」
・「経費を下げる」
という3つの内容に分解できます。
更に、材料費であれば在庫ロス削減、人件費であれば残業時間の削減、経費であれば紙媒体の資料の削減等が例に挙げられます。

3.2 「従業員数×1人当たり勤務時間」を下げる数値数値目標

算式の分母になっている従業員数×1人当たり勤務時間を下げることで労働生産を高めることができます。
そのため、1人当たり勤務時間を下げるための目標数値として以下のような目標数値を設定することができます。
・段取りの時間を減らす
・手待ちの時間を減らす
・残業時間を減らす
などなど

ここで注意した方が良いのは、分母を下げるうえで、従業員数の削減は目標数値にしない方が良いと思います。
経営状況が悪化した会社がやむを得ずリストラをする場合には、施策として考えられる内容ですが、今回の補助金を活用して経営力を向上させるという趣旨には沿いません。

人手不足で採用ができない中で、1人当たりの勤務時間を削減するための効率化の取り組みをITツールを用いて行うというイメージで目標数値を設定する必要があります。

実際に、IT補助金とは別の施策になりますが、中小企業を支援するための「経営力向上計画」(経営力向上計画については、こちらの記事もご参照ください。)では労働生産性の計画を作成する上で、リストラのような従業員削減を目標としないことが申請の条件になっていますので、ご留意ください。

独自の数値目標を設定する上では、申請者の課題とI Tツールの機能の内容を踏まえて、労働生産性の向上につながる指標を設定した方が良いでしょう。

4.SWOT分析の結果と申請するITツールの整合性

国は、IT補助金の事業目的を以下のように記載している。
「自社の課題やニーズに合ったITツール(ソフトウエア、サービス等)を導入する経費の一部を補助することで、業務効率化・売上アップをサポートするもの。」
「自社の置かれた環境から強み・弱みを認識、分析し、把握した経営課題や需要に合ったITツールを導入することで、業務効率化・売上アップといった経営力の向上・強化を図っていただくことを目的。」

いわゆるSWOT分析を行い、自社の課題、環境にマッチしたITツールの導入を求めていることが分かります。

ちなみに、SWOT分析とは、外部環境や内部環境を強み (Strengths)、弱み (Weaknesses)、機会 (Opportunities)、脅威 (Threats) の4つのカテゴリーで要因分析し、事業環境変化に対応した経営資源の最適活用を図る経営戦略策定方法の一つであり(Wikipediaより引用)、経営学を勉強する時にも定番となっている経営分析手法です。

IT補助金の申請においては、「自社の強みを伸ばすためのITツールを導入する。」「自社の弱みを補うITツールを導入する。」と考えてもらえればイメージしやすいと思います。

IT補助金の事業目的から考えると、補助金の採択率を高めるためには、支援者側が申請者が「経営診断ツール」を作成する時に選択した「SWOT分析に該当する項目の内容」と「課題」、「解決策」として利用するITツールが整合していることを確認して、申請書のチェックを修正できるかがポイントになるとでしょう。

なお、経営診断ツールを今回のIT導入補助金を申請する時に作成が必要になるものです。
経営診断ツールに記載する内容については、目次の6に記載していますので、ご参照ください。

(申請者へのメッセージ)
SWOT分析と言われると、難しい用語が並ぶので、自分では作成できないのではないか。時間がかかりそう。面倒だと思う方もいるかもしれません。

でも安心して下さい。IT補助金の場合には、申請時に作成が必要になる「経営診断ツール」を使うことで、簡便的にSWOT分析ができるようになっています。
自社の強み、弱み、企業を取り巻く環境の各項目について、選択肢にある用語から、これが当てはまると思うものを選択すればOKです。

申請後には、支援者側が内容を確認して修正することも可能ですので、まずは、必要なITツールを選んでベンダーに相談してみましょう。

5.経営診断ツールの記載

経営診断ツールに記載する項目を見ますと、これにチェックを入れると良くないという項目があります。支援者側がしっかり各項目のチェック内容を確認することがポイントになるでしょう。

6.(参考)経営診断ツールの記載内容

1. 経営者
〇経営理念・ビジョン (必須 いずれか1つを選択)

・経営理念を掲げて社内に周知を図っている

・経営理念は持っているが、社内の周知は不充分である

・経営理念を作成しているところである

・経営理念は持っていない

・特に意識したことは無い わからない

〇経営意欲 (必須 いずれか1つを選択)

・事業の拡大に積極的

・事業の維持に注力

・事業の売却・整理・廃業を考えている

・特に意識したことは無い

〇ネットワーク(必須 いずれか1つを選択)

・他社の経営者と頻繁に(毎月1回以上)交流の場を持っている

・経営について考える異業種交流を頻繁に(月1回以上)している

・情報を収集する外部とのネットワークを5箇所(5人)以上持っている

・他社との情報ネットワークを持っていない

〇後継/継承必須 (いずれか1つを選択)

・後継・継承については、すでに決まっている

・後継・継承については、考えなければならないが、決まっていない。

・創業後間もないので、考える必要は無い

・経営者が若いので、考える必要は無い

・承継したばかりなのでので、考える必要は無い

・後継・承継について相談する人がいない、わからない。

・高齢(60歳以上)になっているが、まだ元気なので後継・承継は考えていない

・わからない

2. 事業
〇沿革/ターニングポイント (必須 いずれか1つを選択 )

・経験や経歴、会社の沿革で、自社の価値を生み出すきっかけがあった

・沿革の中で、厳しい環境の時に乗り越えてきた記録を残したり伝えることで現在に生かしている

・特にターニングポイントがあったとは思わない

〇強み(必須 複数選択可)

・独自性・独創性

・営業力

・商圏・立地

・製品サービスの質

・商品・サービスの情報発信力

・顧客情報の収集・管理

・人材力 技術力

・充実した設備力

・ビジネスモデル

・特許などの知財

・社内チームワーク

・協力会社等との外部連携力

・伝統や長い社歴

・新製品や新サービスなどの開発力

・その他

・特になし/無回答

〇弱み(必須 複数選択可 )

・競合他社との差別化が図れていない

・人材不足

・商圏・立地

・製品サービスの質

・商品・サービスの情報発信不足

・顧客情報の不足

・在庫管理・工程管理等、業務管理がうまく把握できていない

・社員の高齢化や退職

・人が育たない

・設備の陳腐化

・運転資金不足

・設備投資資金不足

・その他

・特になし/無回答

〇IT投資/活用の状況(IT投資) (必須 いずれか1つを選択 )

・今までIT投資を行ってきた方

年間平均〇〇円を投資

・過去IT投資を行っていない

〇IT投資/活用の状況(活用の状況) (必須 いずれか1つを選択 )

・導入されたITを積極的に活用していて、今回更なる拡張を考えている

・導入されたITに対して不満があり、充実させたい

・今まで導入していないが、新しくIT化をするので、補助金を利用したい

・どのように使われているか、わからない

〇IT投資/活用の状況(セキュリティの状況) (必須 いずれか1つを選択 )

・緊急時の対応マニュアルや手順を決め、定期的に訓練を行っている

・パソコンやサーバなどには、IDやパスワードを設け情報セキュリティ管理を行っている

・セキュリティ対策は講じていないため、対策を講じていく

3. 企業を取り巻く環境・関係者
〇市場動向/規模/シェア (必須 複数選択可)

・お客様が誰で、何を求めているかを知っている

・お客様が何を求めているかを把握し、その対応を行っている

・お客様と、ニーズについて会話の機会を設けている

・競合になりそうな新しい製品やサービスの出現について調べている

・陳腐化や撤退する(無くなる)商品サービスについて、その原因把握に努めている

・競合を含めた自社業界の変化を把握している

・お客様や競合の状況を把握していない

〇顧客リピート/新規顧客 (必須 いずれか1つを選択 )

顧客のリピート状況や新規顧客数は把握されていますか

・常に把握できている

・感覚的に理解している

・把握できていないので、把握するためのIT化を考えたい

・把握できていないが、今後把握に努めたい

・わからない

〇従業員定着率/勤続年数/平均給与 (必須 いずれか1つを選択 )

・評価して、対策など考えている

・評価しているが、対応策などわからない

・常に気を使って様々な取組みをしている

・モチベーション(やる気)に気を配っているが、取組みなどはしていない

・考えたことは無い

〇支援機関(金融機関等)/関係 (必須 いずれか1つを選択 )

・支援機関と連携・協働して取組を進めている

・支援機関と連携していくための相談を始めている

・支援機関と連携していくことを検討している

・支援機関と連携・協働することは考えていない

4. 内部管理体制
〇組織体制(情報共有体制) (必須 複数選択可)

・業務手順書やマニュアルを整備している

・各業務の品質レベルを明確にしている

・定期的に業務品質の検証と見直しをしている

・業務プロセス全体の流れを把握し、改善に努めている

・従業員の力量を把握し、必要に応じて教育・訓練を行っている

・顧客クレームや、内部不良に対する改善を行う仕組みを持ち、実践している

・わからない

〇組織体制(情報管理/品質管理) (必須 いずれか1つを選択 )
・従業員が少ないため(もしくは個人)、特別に体制の構築は必要ない

・情報や品質管理体制を構築し、常にクオリティをチェックしている

・情報や品質管理体制が出来ておらず、整備していきたいと考えている

・わからない、関係が無い

〇事業計画の有無(事業計画) (必須 複数選択可 )

・課題を明確にして、事業計画が作成されている

・事業計画が作成されている

・事業計画の作成は税理士や診断士などにまかせている

・事業計画の作成は行っていない

・わからない/無回答

5. 総括
〇取り組むべき課題 (必須 複数選択可)

・会社・商品・サービスの認知度向上

・顧客・取引先の利便性向上

・業務処理の正確性向上

・業務分析の高度化・精度向上

・業務プロセスの簡素化・標準化・代替

・営業情報の可視化(見える化)と共有

・ノウハウ蓄積と共有

・事業の問題点を明確化して、目標の共有

・その他(フリー記入)

・ 特になし

〇将来目標 (必須 複数選択可)

・雇用の確保・安定化

・増収・増益

・新店舗出展(EC含む)

・事業拡大

・海外進出

・その他(フリー記入)

・特になし

〇取り組むべき改善点 (必須 複数選択可 )

・広報の強化

・快適な売り場つくり

・新規市場開拓・新規顧客獲得

・新サービス・新メニューの開発・導入

・顧客満足度・利便性の向上

・製品・サービスの質の向上

・ノウハウ蓄積と共有ための機会や場の導入

・人材確保・育成

・リスクの洗い出しと経営計画の作成

・各業務の効率化と経費の削減

・専門家による経営指導の活用

・経営状況の正確な把握

・その他(フリー記入)

・わからない

〇対応策<IT化での解決指針>フロント業務  (複数選択可 )

・外国人対応

・予約管理・受付(チェックイン・アウト)

・オーダーエントリー(座席・客数・メニュー・担当)

・POSレジ会計・売上管理・ポイント管理

・ホームページ(企業PR・商品サービス案内・EC・メルマガ等)

〇対応策<IT化での解決指針> (ミドル業務 複数選択可 )

・業者管理(食材・酒類飲料・他)

・発注・仕入・買掛・支払管理(食材・酒類飲料・他)

・在庫管理(食材・酒類飲料・他)

・レシピ管理(レシピ登録・食材使用量計算・理論在庫自動算出)

・顧客管理(基本情報・来店履歴・嗜好情報・アンケート管理)

・スタッフ管理(シフト組み・勤怠)

〇対応策<IT化での解決指針>バックオフィス業務  (複数選択可)

・原価計算・予算統制

・事業計画・財務会計・税務申告・管理会計

・人事・労務・給与・福利厚生・教育・法令

・文書証憑管理(帳票/契約書/他)

・ワークフロー・グループウェア

・分析機能・効率改善ツール(例:テンプレートにより業務機能を保有するBI・RPA等)

〇基本情報
・商号(必須)

・所在地(必須)

・代表者名(必須)

・業種_細分類  (※日本産業分類の細分類コードを入力)

・決算月

〇財務分析入力情報

前期決算期 前々期決算期
・従業員数(正社員) ※1 必須  人
・年間の平均労働時間 ※2 必須  時間
・売上高  必須  千円
・一期前売上高  必須  千円
・資本金 ※3 必須  千円
・営業利益  必須 千円
・借入金 ※7 千円
・現金・預金  千円
・減価償却費 ※4 千円
・純資産合計  千円
・負債合計  千円
・売掛金  千円
・受取手形 ※5 千円
・棚卸資産  千円
・買掛金  千円
・支払手形 ※6 千円

※1:従業員(正社員)には、パート及び派遣及び契約社員は含まれません。
※2:従業員(正社員)の年間の平均労働時間を入力して下さい。
※3:個人事業主の場合は、資本金は「0」と入力して下さい。
※4:製造原価、一般管理販売費等に計上されている減価償却費の合計を入力して下さい。
※5:受取手形には、割引手形を含めた金額を入力して下さい。
※6:支払手形には、設備支払手形は含めません。
※7:借入金は、長期借入・短期借入・1年以内返済長期借入金を合計を入力して下さい。

(参考)
〇IT導入支援者の入力画面

①労働生産の計画数値を入力する。

②独自指標の入力をする。

③関連施策情報の入力、修正(おもてなし、セキュリティチェック等)

④ITツール情報の入力

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