事業承継

事業承継の時に使える融資制度

事業承継(事業や企業を承継・集約)をする時に使える融資制度をご紹介します。

目次

1.事業承継・集約・活性化支援資金

会社や個事業主、代表者個人が事業承継をする時には、日本政策金融公庫の低金利の融資制度があります。
融資制度の名称は、「事業承継・集約・活性化支援資金」といいます。

1.1 利用対象者

次のいずれかにあてはまる方が対象になります。
①中期的な事業承継を計画し、現経営者が後継者(候補者を含む。)と共に事業承継計画を策定している方
②安定的な経営権の確保等により、事業の承継・集約を行う方
③事業の承継・集約を契機に、新たに第二創業(経営多角化、事業転換)または新たな取組を図る方(第二創業または新たな取組後、概ね5年以内の者を含む)
④中小企業経営承継円滑化法に基づき認定を受けた中小企業者の代表者
⑤事業承継に際して経営者個人保証の免除等を取引金融機関に申し入れたことを契機に取引金融機関からの資金調達が困難となっている者であって、公庫が貸付けに際して経営者個人保証を免除する方

1.2 資金の用途

・利用対象者の①に当てはまる方が、事業承継計画を実施するために必要な設備資金および長期運転資金
・利用対象者の②または④に当てはまる方が、事業承継を行うために必要な設備資金および長期運転資金
・利用対象者の③に当てはまる方が、当該事業を行うために必要な設備資金および長期運転資金
・利用対象者の⑤に当てはまる方が、金融機関との取引状況の変化に伴い必要な長期運転資金

1.3 融資限度額

直接貸付 7億2千万円

1.4 利率(年)

・利用対象者の①に当てはまる方
4億円まで:特別利率①(貸付期間が9年以内の場合には0.71%、上限3%)
4億円超:基準利率(貸付期間が9年以内の場合には1.11%上限3%)

・利用対象者の②に当てはまる方
基準利率
ただし、以下の①~⑤のいずれかの要件を満たす場合、4億円まで 特別利率①(上限3%)
4億円超 :基準利率(上限3%)
①付加価値向上計画を作成し、同計画において新たな雇用が見込まれる方
②後継者不在などにより事業継続が困難となっている企業から事業を承継する方
③株主などから自己株式又は事業用資産の取得などを行う法人の方
④事業用資産の取得等を行う後継者(個人事業主)の方で、前個人事業主の退任などの事由が発生してから5年以内の方
⑤事業会社の株式または事業用資産を取得する持株会社の方
(注)②に該当し、小規模事業者から事業を承継する方については、特別利率②(貸付期間が9年以内の場合には0.46%)

・利用対象者の③に当てはまる方
4億円まで:特別利率②(上限3%)
4億円超: 基準利率(上限3%)

・利用対象者の④に当てはまる方
4億円まで:特別利率①(上限3%)
ただし、付加価値向上計画を作成し、同計画において新たな雇用が見込まれる方は、特別利率②
4億円超: 基準利率(上限3%)

・利用対象者の⑤に当てはまる方
基準利率

適用利率は借入する方の条件によって異なりますので、詳細はこちら(日本政策金融公庫のホームページ)でご確認下さい。

1.5 融資期間

・設備資金:20年以内(うち据置期間2年以内)
・運転資金:7年以内(うち据置期間2年以内)

1.6 担保、保証人等

・担保設定の有無、担保の種類は公庫と相談の上、決定
・経営責任者の個人保証が必要になる場合がある。

2.経営承継円滑化法に基づく認定を得た場合の信用保証枠の拡大

経営承継円滑化法に基づく認定を受けた場合には、金融機関から借入をする時の保証協会の保証枠が拡大しますので、簡単に内容をご紹介します。

2.1 経営承継円滑化法とは

経営承継円滑化法は、事業承継円滑化のための総合的支援策を講ずる「中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律」の略称で、平成20年5月に成立したものです。

経営承継円滑化法では、中小企業の事業承継を支援する以下の3つの支援を措置しています。
(1)税制支援(贈与税・相続税の納税猶予及び免除制度)の前提となる認定
(2)金融支援(中小企業信用保険法の特例、日本政策金融公庫法等の特例)の前提となる認定
(この記事の内容は(2)に該当します)
(3)遺留分に関する民法の特例

2.2 経営承継円滑化法に基づく認定手続き

事業承継時の金融支援としての保証枠の拡大を受けるためには、各都道府県の担当課に経営承継円滑化法の申込みを行い、認定を受ける必要があります。
認定申請書の主な記載事項と提出書類は以下の通りです。
①事業承継を行うこととなった原因
先代経営者の死亡または代表者の退任
②事業活動の継続に支障を生じさせる主な事由
√申請者が、申請者以外の者が有する株式を取得する必要があること
(提出書類)
・認定申請日における株主名簿の写し
・申請者が譲受けの申込みをしようとする自己の株式の価格を証する書類

√申請者が、申請者以外の者が有する事業用資産を取得する必要があること。
(提出書類)
・申請者が譲受けの申込みをしようとする事業用資産等の登記事項証明書(当該事業用資産等が不動産である場合に限る。)及び当該事業
用資産等の価格を証する書類
・申請者以外の者が当該申請者の事業用資産等を有していることを証する書類

√申請者の売上高が減少することが見込まれること。
(提出書類)
・申請者の売上高等が減少することが見込まれることを証する書類

√仕入先からの取引条件について申請者の不利益となる設定又は変更が行われたこと。
(提出書類)
仕入先からの仕入れに係る取引条件について申請者の不利益となる設定又は変更が行われたことを証する書類

√取引先金融機関との取引に支障が生じたこと。
(提出書類)
取引先金融機関からの借入れに係る返済方法その他の借入条件の悪化、借入金額の減少又は与信取引の拒絶その他の取引先金融機関との  取引に係る支障が生じたことを証する書類

√その他諸費用が生じたこと。
(提出書類)
諸費用が生じていることを証する書類

POINT

・経営承継円滑化法の認定とは別に金融機関及び信用保証協会の審査が必要です。
・提出書類等は株価評価等の専門的な内容を含みますので、顧問税理士、専門家に相談するのがお勧めです。

2.3 保証枠の拡大の内容

通常は、普通保険の保証枠は2億円ですが、4億円まで拡大します。
また、無担保保険8,000万円、特別小口保険は1,250万円ですが、それおれ1億6千万円、2千5百万円まで拡大します。

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