創業・開業

税理士監修 日本政策金融公庫に提出する創業計画書の作成のポイント③

日本政策金融公庫からの創業融資を受ける時に作成が必要になる創業計画書の作成のポイントを数回に分けて説明します。
以下に添付しているのは、実際に提出する創業計画書のフォーマットです。
今回は創業計画書の中の、「5.従業員」「6.お借入の状況」「7.必要な資金と調達方法」の作成のポイントを簡単にご紹介します。
なお、記載の順番は、重要性が高い「7.必要な資金と調達方法」を先に記載しています。

1.必要な資金と調達方法

この欄は、資金計画を記載する場所になります。

資金計画とは、創業をする上で資金がいくら必要で、どのように調達するかを検討する計画です。

創業計画書の「7.必要な資金と調達方法」の欄にある表の中で、左側の欄(簿記の用語では「借方」といいます。)に記載するのが、「必要な資金」の内訳と金額、右側の欄(簿記の用語では「貸方」といいます。)に記載するのが、「調達の方法」の内訳と金額になります。

1.1 必要な資金

「必要な資金」は、「運転資金」「設備資金」に区分して記載をします。

「運転資金」には、商品の仕入代金や広告宣伝費、パートへの支払いなど、事業を回していくために必要な支払いの内容と金額を記載します。

運転資金を記載する上で、特に注意をする必要があるのは、先に商品などを仕入れる必要がある事業の場合です。

お金の支払いが売上より先行するために、創業した後に資金不足になる可能性が高くなります。ただでさえ、創業後に計画通りに受注を挙げていくのは大変なものです。

最悪のケースですと、運転資金に不足があって予定していた事業ができないという事が起こり得ます。

そのため、私は、運転資金を網羅的に把握して計画に織り込むようにアドバイスしています。

初めての創業の場合には、こんな事にお金がかかるとは思わなかったという事がどうしても後から出てきてしまうものです。他の会社の中身を見ている会計の専門家に相談するのは、事業をする上での資金繰りのリスクを減らす上でも大切だと思います。

なお、運転資金の金額の目安は、事業が軌道になるまでの期間として3か月分と言われています。

「設備資金」には、店舗やオフィス、工場の工事費用、賃貸する場合の敷金保証金や、厨房機器、什器・備品、工場に導入する機械、営業車などの設備の内容と金額を記載します。

設備資金は、創業後、複数年に渡って使用することになるもので運転資金と比較して金額が大きくなるものです。そのため、融資を受ける時には業者への見積書(契約している場合には契約書)などのお金を使う予定となる根拠資料を一緒に提出する必要があります。

1.2 調達の方法

「調達の方法」は、「自己資金」「借入金」に区分して記載します。

「自己資金」は、自分で貯めてきたお金の中で創業のために使えるお金です。日本政策金融公庫の新創業融資制度では必要資金の10分の1以上を準備できれば申請可能です(例えば必要資金が1,000万円の場合には100万円以上を預金通帳等で確認できればOKです)。

ただし、自己資金が多いことは、創業までにしっかり準備してきたことの証明となります。また、無駄な支出を省くという経営感覚を持った人だと評価されることになります。

そのため、自己資金をどれだけ準備できるかは融資の成功率を高めるためのポイントになります。

「借入金」は、日本政策金融公庫からの借入金、身内等(親、兄弟、知人、友人等)からの借入金、日本政策金融公庫以外からの借入金に区分して記載します。

ここで、創業するために必要な資金と調達金額(準備するお金)は同じ金額になりますので、左側の「必要な資金」欄の一番下にある合計金額と右側の「調達の方法」欄の一番下にある合計金額は必ず一致させます。

2.従業員

この欄には、常勤役員、従業員数、パートの人数を記載します。

3.お借入れの状況

創業するための借入以外の借入がある場合に記載する欄です。住宅ローンや車のローン、教育ローン、カードローン等がある場合には漏れなく記載をする必要あります。

金融機関は、融資の時に個人の信用状況の調査を行い、創業者に返済が必要なローンがあることや借入の返済状況(遅延がないか等)を把握します。

そのため、事業以外の借入を隠すことはできないと考えて頂いてよろしいでしょう。

不安な情報だと考えて隠すよりも、むしろ、個人の借入を含めて事業の資金繰り計画を策定して、返済余裕がある事をしっかり説明できるようにすべきです。

4.まとめ(日本政策金融公庫の担当者から聞いた創業融資のポイント)

今回の内容の中で、日本政策金融公庫から融資を受ける時の最大のポイントは、「自己資金」です。

自己資金をどれだけ準備できるかが融資の成功率を高めるポイントです。融資担当者は、創業前に自己資金をできる限り蓄えることは、無駄な支出を省くという経営感覚を磨くことにつながると考えています。

創業を考えたら必要になる資金のために、どれ位の自己資金を貯めたら良いかを考えておくと、創業後に資金詰まりのリスクが少なくなります。

とはいえ、自己資金があまり準備できていないが、すぐに創業したいという方もいらっしゃると思います。

当事務所では、そのような創業者にも相談を通じて、通りやすい創業計画書の作成を支援することが可能です。
初回の相談は無料です、お気軽にお問い合わせ下さい。

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