1日5分で学ぶ税金の話。
第1回目では、税金の種類がたくさんあること、第2回目では、税金の中でもフリーランス、サラリーマンに関わる所得税の所得の種類について学びました。
第3回目の今回は、所得税の税金の計算方法を学びます。
目次
1.税金の対象となる課税所得
第2回目で記載したとおり、所得は収入から経費を引いて算定します。
○所得=収入-経費
税金は、この所得に対して直接かかる訳ではありません。
所得から各種の控除をした後の金額にかかります。
所得から差し引くことができる控除のことを所得控除。所得から所得控除を差し引いた金額のことを課税所得といいます。
○課税所得=所得-所得控除
この課税所得が税金の対象となる金額になります。
2.最終的に支払う税金の計算と税率
そして、最終的には、課税所得に決められた税率をかけることで税金が計算されます。
○税金(所得税として納める額)=課税所得×税率
この課税所得にかける所得税の税率は、5%から45%の7段階(平成27年分以降)に区分されます。課税所得の金額が大きくなればなる程、税率が高くなります。税率の区分は、以下の所得税の速見表をご参照下さい。
(所得税の速見表)
課税される所得金額 | 税率 | 控除額 |
195万円以下 | 5% | 0円 |
195万円超 330万円以下 | 10% | 97,500円 |
330万円超 695万円以下 | 20% | 427,500円 |
695万円超 900万円以下 | 23% | 636,000円 |
900万円超 1,800万円以下 | 33% | 1,536,000円 |
1,800万円超 4,000万円以下 | 40% | 2,796,000円 |
4,000万円超 | 45% | 4,796,000円 |
例えば、課税所得4,500万円の場合には、45%の税率がかかり、税額は4,500万円×45%-4,796,000円=20,250,000円になります(厳密には、平成25年から平成49年までは復興特別所得税が原則として基準所得税額の2.1%かかり、住民税もかかりますので、実際に納めるべき税額はもっと多くなります。)。
3.合計して計算する所得と分けて計算する所得
2.まででは、税金の計算の構造を把握するために、所得の種類を一つとして説明してきました。しかし、厳密には、10種類ある所得の中には、合計して税金の計算をする所得と、他の所得は分けて税金の計算をする所得があります。
合計して計算する所得を「総合課税」、分けて計算する所得を「分離課税」と呼びます。
「総合課税」になるのは、第2回目の所得の中で、不動産所得、事業所得、給与所得、配当所時、一時所得、雑所得、譲渡所得(土地、建物、株式以外)です。総合課税になる所得は、それぞれの所得の金額を合算した後に、所得控除を引いて課税所得の金額を算出します。
「分離課税」になるのは、山林所得、退職所得、利子所得、譲渡所得(土地等の譲渡、株式等の譲渡)です。分離課税にグループされる所得は、総合課税の所得とは合算されずに税率をかけて税金として支払う金額を算定します。
東京税理士会のホームページの表が分かりやすいのでご参照下さい。
例えば、株式を売却した場合には分離課税になり税率が20%(所得税15%、住民税5%)になりますが、仮想通貨で利益が出た場合には、総合課税になりますので、最大で45%の税率を適用することになります。
仮想通貨で1億円の利益が出た場合には、他の所得等を無視して計算すると、40,240,000円(45,000,000円-4,796,000円)の所得税の支払いが少なくと必要になることが分かります。
4.まとめ
・税金の支払い額は、(所得(収入-経費)ー所得控除)×税率で計算される。
・所得の中には、総合課税と分離課税がある。
税金の支払い額の計算式からは、節税するためには、①経費を増やすこと、②所得控除を活用することが分かります。
次回からは、節税の話しもしていきたいと思います。