平成29年度補正予算のIT導入補助金の加点項目にもなる「おもてなし規格認証」についてご紹介します。
規格認証の内容や他のメリットも記載していますので、すぐに取得したい方は目次の3番目から読んでください。
30分位で紅認証は取得できますよ。
IT導入補助金については、こちらの記事、IT導入補助金採択のポイントについては、こちらの記事も参考にしてみて下さい。
目次
1.おもてなし規格認証とは
おもてなし規格認証とは、サービス産業と地域の活性化のために創設された規格認証制度です。
サービス業の場合には、製造業のように提供する物が形のあるものではなく、「目に見えない」価値を提供しています(製造業でもサービス業のような価値を提供することはありますが、比較対象で分かりやすくするために記載しています。)。
そのため、事業者が高品質なサービス提供を行っても、それを付加価値として価格に転嫁しづらい現状にある。
そこで、こうした現状を改善し、サービス品質を「見える化」するための規格認証制度として「おもてなし規格認証」が誕生したそうです。
運営は、一般社団法人サービスデザイン推進協議会。
IT導入補助金の事務局として経済産業省から受託している法人のようです。
他のサイトで見たところ、電通、パソナ、トランス・コスモスが運営しているような記事がありましたが、ホームページを見る限り詳細は未公表のようです。
1.1 目的、定義
おもてなし規格認証は、サービスを提供するすべての事業者にとって、高品質なサービスの提供・維持・向上を促し、より高い生産性を実現するための、共通化された枠組みで、サービス品質の一部を「見える化」することで、下記の実現をはかることを目的としています。
(1)質の高いサービス提供を行っている事業者の見える化支援
(2)質の高いサービスを提供したいと考える事業者への手引きの提供
(3)消費者の高品質なサービス享受の機会増加
サービスの多くは、接客を通じて提供した「製品」とその製造の「プロセス」から成り立ちます。
おもてなし規格認証は、この「プロセス」の品質向上のために、①顧客満足、②従業員満足、③地域社会の満足を高めるためのプロセスを定義します。
また、それぞれを有機的に結びつけることで、事業者が持続的によりよいサービスの提供が出来るよう支援を行っています。
おもてなし規格の4つの定義は以下の通りです。
①「お客さま」の期待を元に、共に価値を創ること
②「従業員」の意欲と能力を引き出すこと
③ 地域・社会と共生していくこと
④ 継続・発展していくこと
1.2 認証の種類
おもてなし認証には4つの種類があります。
①紅認証
サービス向上の取組に意欲的なサービス提供者(自己適合宣言)
登録無料です。★(金認証)、★★(紺認証)取得の場合には紅認証の取得が必要です。
30項目あるチェックリストの中で15項目以上クリアする必要があります。
ただし、自己適合宣言であり、審査はありません。つまり、取り組むことを宣言すればOKということです。
②★(金認証)
お客さまの期待を超えるサービス提供者(第三者認証【有償】)
30項目あるチェックリストのうち、「既に実施している取組」について15項目以上該当する必要があります。認証機関による審査が行われる第三者認証です。
取得にかかる費用ですが、審査料20,000円、認証料10,000円、更新料10,000円です。
③★★(紺認証)
独自の創意工夫が凝らされたサービス提供者(第三者認証【有償】)
30項目あるチェックリストのうち、「既に実施している取組」について21項目以上該当する必要があります。認証機関による審査が行われる第三者認証です。
取得にかかる費用ですが、審査料100,000円、認証料50,000円、更新料50,000円です。
④★★★(紫認証)
お客さまの期待を大きく超える「おもてなし」提供者(第三者認証【有償】)
30項目あるチェックリストのうち、「既に実施している取組」について24項目以上該当する必要があります。認証機関による審査が行われる第三者認証です。
紺認証要件に加え、「独自性」の要件が加わります。
取得にかかる費用は、ホームページ上に明記はないので、問い合わせをする必要があるようです。
2.取得のメリット
取得のメリットとしては、以下の内容が公式ホームページに挙げられていました。
①サービス品質の見える化
登録・認証後に発行される「登録証」または「認証書」とマークを店頭やホームページに掲手したり、名刺やパンフレットに印刷することができます。
サービス品質を「見える化」することで、皆さまの取組を顧客や地域にアピールできます。また、従業員の意識の向上にもつながります。
②公的支援(補助金や公的融資など)が受けやすくなる。
・日本政策金融公庫では、IT(情報通信技術)への投資、訪日外国人旅行者の消費需要の取り込みに向けた工夫など、業務の革新・改善を図る事業者に対する融資制度を設けています。
おもてなし規格認証を取得した事業者(紫認証、紺認証又は金認証を取得した事業者に限る)は設備資金及び運転資金について日本政策金融公庫から低利融資での支援を受けられます。
・IT導入補助金申請時の加点対象となります。
③生産性向上と経営品質の向上
おもてなし規格認証 2018」の規格は、顧客・従業員・地域の満足を促進するだけでなく、自社の生産性の向上につながる視点でも策定されています。
・おもてなし規格認証取得を通じた、サービス事業者としてサービス品質向上に向けた設備投資や人材育成の取組により、企業としての「生産性の向上」と「経営品質の向上」を図ることができる。
・上記取組での中小企業等経営強化法の定める経営力向上のための人材育成や財務管理、設備投資などの取組を記載する「経営力向上計画」を策定し、申請することで「固定資産税の軽減措置」が受けられる。
①については、規格の認知が今後どれくらい広まるかにもよりと思いますが、注目したいのは、②と③ですね。
②については、紅認証では対象外となってしまいますが、金認証以上の認証を取得している場合には2億7千万円まで特別金利が適用されます。
③については、経営力向上計画を策定する上での取り組みを考える上で利用できるという点で、おもてなし規格認証のチェック項目は役に立つと思います。経営力向上計画作成のメリットは、こちらの記事、経営力向上計画の作成方法は、こちらの記事も参考にしてみて下さい。
3.取得の方法
審査が不要な紅認証の取得方法をご紹介します。
創業者、個人事業主でも簡単に取得できますので、お試しください。
①公式サイトにアクセスする。
公式ホームページのURLは、「https://www.service-design.jp/」です。
こちらにもリンクを貼りました。
②確認・同意事項にチェックする。
③メールアドレスを登録する。
メールアドレスを登録して、「確認する」のボタンを押すと、入力したメールアドレスに、「本登録手続きのご案内」が届く。
③本登録手続きを行う。
メール本文内にあるリンクを押す。「本登録手続き」を進めるため、「本登録画面へ進む」ボタンを押す。
④本登録フォームに入力する。
本登録フォームにある項目を入力する。入力が終わったら、「チェックシートへ進む」ボタンを押す。
チェックリストにある項目に15個以上チェックし、「次へ進む」ボタンを押す。
(15個以上のチェックがないと先に進めません。実際に取り組んでいなくても、今後取り組む内容をチェックしましょう(自己宣言です。))
チェックが終わったら、「確認する」ボタンを押す。
内容を確認し、「この内容で送信する」ボタンを押す。
⑤本登録完了メール
本登録完了メールが送信されるため、メールを確認する。
⑥登録証とマークのダウンロード
登録証と規格認証マークがダウンロードできるようになります。
リンクの有効期限は7日間なので、ご注意下さい。
自社のホームページなどに掲載することも可能です。
4.実際に取得してみた(紅認証)
事業者名はふせていますが、私の個人事業で紅認証を取得してみました。
添付した登録証の下にある小さい文字は、チェックリストにある30項目です。この中で自分がチェックした15項目について、「積極的に取り組んでいます。」という宣言をしたことになります。
簡単に認証されるとはいえ、何だか嬉しいですね。
IT導入補助金にも加点になりますし、自己宣言することで意識も変わるので取得して良かったと思います。